家を長持ちさせるには
【住まい手向け】長持ち住宅ガイドラインより。
外皮とは
住宅において、外皮とは居住空間を包み込む外周部の構造の総称です。
ここで外周部とは具体的には屋根、外壁、基礎を含む床下を指します。
外皮の構造は建物の種類によって様々です。
たとえば倉庫や工場の屋根や壁では、屋根材一 枚が外皮を構成する場合もありますが、木造住宅では屋根や外壁の内側に天井や内壁なとの内 装があり、またその中間には下地材や断熱材が組み込まれているのが普通です。
この場合、屋根であれば天井面から屋根材の外側表面まで、外壁であれば内装表面から外壁仕上げの表面までの全部を外皮と考えます。
外皮と躯体(建物を支える柱や梁などの骨組み)とは、建物の構造形式によっては分離して 設けられる場合もありますが、近年の木造住宅では躯体の内外全面に外装と内装を行い、躯体 が見えない構造形式(構造形式の分類では大壁形式と呼びます)がほとんどです。
この形式で は躯体が外皮に内包されることになり、住宅の耐久性上最も重要な躯体の劣化は、不適切な外皮の構造や仕様による雨水浸入や結露などの不具合が深く関わっています。
木造住宅の耐久性と外皮の関わり
木材と水分
木造住宅の耐久性をおびやかす最大の敵は水分です。
これは木材に一定以上の水分が含まれた状態が長期間継続すると、建物内外に存在する木材腐朽菌の生育に好適な条件となり、腐朽が発生するためです。
木材腐朽菌の生育には水分の他、栄養分、適切な温度、空気(酸素)が必要ですが、このうち活動に適した温度範囲と空気は人の居住環境と同じなので、これを制御することはできません。
養分である木材については、もともと耐久性の高い樹種を選択したり、木材保存剤で処理することによって、腐朽菌が容易に栄養分として利用できなくすることが可能です。
しかしながら、住宅木部全てにこうした材料を使うことは現実的ではなく、腐朽を防ぐためには水分を制御することが最も普遍的で重要な対応策となります。
木造住宅の耐久性と外皮の関わり
空気中の水蒸気量が多いほど(相対湿度が高いほど)露点温度は高いので、より広範囲に結 露が発生することになります。
外皮内の空気の水蒸気量を高める要因には、地中の水分、建設時に構成材が含有する水分、調理や入浴などを含め、室内で発生する水蒸気などがあります。
これらの水蒸気が外皮内に入り込むかどうかには外皮の構造や仕様、および施工方法の適切さが関わっています。
外部から外 皮内に浸入し、滞留・保持された雨水もまた、外皮内の空気の水蒸気量を高める要因となります。これらの水分による外皮内木材の長期湿潤化を防ぐには、言うまでもなく、まず水分を外皮内に入れないことです。
このためには建設時に十分乾燥した材料を使用する。
外部からの水の浸入に対しては外面を完璧に防水する。
湿気に対しては移動経路を完全に遮断することが基本となります。
しかし、果たして木造住宅でそれが常に可能でしょうか?
木造住宅は多種多様な部材の組合せによって作られ、施工には変動が激しい環境の中で、多くの職種が複雑な工程に関与します。
まして戸建住宅の多くは中小規模の工務店によって建設され、施工管理体制が万全でないケースも多く見られます。このような状況で生み出される住宅に完全はあり得ません。
雨水や湿気はわずかな隙間や孔からも浸入します。
外皮内への水分の浸入は多少なりとも必ず起きると考えるべきです。
その水分が木材の劣化を引きおこさないために木材を濡らす水分が速やかに気中に放散され、排出されて木材が乾燥状態に保たれる必要があります。
写真のように日本の古い木造 住宅で 100 年を超える長寿命を保っているものは珍しくありません。
これらはほとんどが真壁形式(室内外から柱などが見える形式)で、躯体木部は外気に露出しており、雨で濡れても直ぐ乾く条件にありました。
昭和中期頃から我が国で一般化した大壁造(内外装材に囲まれて室内外から柱などが見えない形式)の住宅で、建築後数十年経過したものを調査すると、外皮の構造や仕様が雨水浸入防止上必ずしも適切でないにも拘わらず、躯体の木材の劣化はあまり進行していない事例が多く見られます。
これは断熱や気密性が必ずしも十分で無かったために、内部結露の発生も少なく、また、外皮は隙間だらけで内部を自由に空気が通り抜けるような構造であったため、雨水 が浸入しても比較的容易に放散できる条件であったことが理由と考えられます。
近年の気密化が進んだ大壁構造の木造住宅では、
いったん外皮内に浸入した水分は抜けにくいため、図 に示すように外皮内に空間(通気層)を確保して木材中の水分がこの空間に放散されやすくし、更にこの空間を外気と連通させて、湿気を排出させることが有効です。
このように外皮内で通気が効果的に行われる構造になっているかどうかも、木造住宅の耐久性に大いに関係があります。
以上から、木造住宅の外皮の構造や仕様が如何に住宅全体の耐久性に深く関わっていることが分かります。
日本特有の気候に合わせた住宅を
軒およびけらばの出の変化
東アジア、東南アジア、アメリカ・メキシコ東海岸、メキシコ西海岸周辺では、世界的に見て台風やハリケーンの襲来が大変多い地域となり、欧州はこのようなハリケーンなどの襲来は 稀となります。
従って、欧州では下図のように屋根の軒やけらばの出が少なくても、それが原因となる雨水 浸入のリスクは低くなります。(軒やけらばの出は、外壁より外側へ出っ張っている屋根の部分 を示します)
一方、わが国では長期間にわたる梅雨や、秋の台風があるため、軒やけらばの出が少ないと 屋根と外壁との取り合い部から雨水浸入するリスクが高くなります。
最近は、軒の出などがほとんど無い、いわゆる「軒ゼロ」住宅が存在し、外壁との取り合い部から雨漏りする事例が報告されています。
狭い土地に対して広い住宅を建設する場合、斜線制限や建築面積の問題などにより、やむを得ず軒やけらばの出が少なくなることもありますが、郊外で土地に余裕がある場合でもデザインの好み、建設費用の削減から軒やけらばの出を極端に少なくすることがあります。
「軒ゼロ」住宅は、必ずしも雨漏りするわけではありませんが、一般的な防水納まりでは、 雨水浸入のリスクが高まるので、綿密な防水設計と施工が必要となります。
また、軒やけらば の出が少ない場合、外壁に掛かる雨の量が増えるため、外壁面の窓・ドアや貫通部分(エアコン、換気口、配線など)からの雨水浸入リスクも高まることになります。
住宅瑕疵担保責任保険会社によると、現在、屋根よりも外壁の雨水浸入事故事例が多くなっており、軒やけらば の出は、雨水浸入事故に大きく関係しているようです。
また、軒やけらばの出は、住宅の省エネルギー性にも影響します。
例えば、軒やけらばの出が大きい場合、この部分により夏の強い日射は影になり、外壁や窓 へ侵入する日射による熱量は少なくなり冷房に要するエネルギーも少なくなります。
一方、「軒ゼロ」住宅の場合、夏の日射は、直接、外壁や窓を照らし、省エネ性だけではなく、住居内の 温度分布もむらになりやすく、快適性も損なわれるおそれがあります。
冬は太陽の日射の角度が水平方向へ緩くなりますので、軒や けらばの出が少し大きくても日射が入り、日射エネルギーを確保する上で問題はあまり大きくはありません。
日本の気候に適応した旧来の住宅は、深い軒および けらば、庇 ひさし を設けるなど、雨仕舞い(耐久性)や省エネルギー性に配慮した住宅が多くありました。
単純に欧州の屋根を模倣した場合は、わが国の気候に適応していない場合 がありますので、十分に配慮する必要があると思われます。
床・外壁・屋根の高気密化、雨水の滞留
従来、在来軸組 在来軸組構法は、下図の通り 根太を土台の上に掛け板を張っていたため、床板と土台の間に隙間が生じており、壁内の断熱材も薄かったため、床下の空気が壁内へ流入し、壁内 は通気層に近い状態となっていました。
そのため、仮に雨水が壁内へ流入した場合でも、湿潤 状態となった部材は壁内の通気により乾燥し、壁内は劣化しにくい環境でした。
近年は根太を省略して大引きの上に直接、厚い合板を張る方法が数多く採用され、断熱材も厚くなったため 隙間がなくなり、下地に透湿抵抗の高い(湿気を通しにくい)面材を使用した場合は、気密性が高くなる可能性があります。
このように、気密性の高い外壁に通気層の無いモルタル直張り 構法などを併用し、何らかの要因により雨水が浸入した場合、壁内は透湿抵抗の高い材料に囲まれているため、乾燥しにくい環境となり、下地材や躯体材が劣化しやすくなります。
乾式外 壁では通気構法が標準となりますが、モルタル外壁を採用する場合でも、通気構法が推奨され ます。また、通気構法で耐力面材を使用する場合は、なるべく透湿抵抗の低い(湿気を通しやすい)材料を使用すると、壁内の水分も通気層へ排出しやすくなります。
従来、屋根の下地には製材による 野地(のじ)板が使用されており、野地板の相互間は目透かしが 設けられ、野地板および小屋裏空間が乾燥しやすい状況でした。
しかし、最近は屋根面の強度 や剛性(外力に対する変形の少なさ)を確保して、住宅全体の耐震性を高めるため、下地に合 板などの構造用の面材を使用するようになりました。
面材の上に 下葺 したぶき 材(防水紙)を葺いた 後、瓦屋根の場合は瓦桟を、その他の屋根は屋根材を直接葺くことが多く、屋根材の下へ雨水 が浸入すると下葺材の上に水溜りが生じやすい納まりとなっています。
この水溜り付近に屋根材や下葺材を留め付けている接合具(釘、ステープルなど)がある場合、釘孔まわりから雨水 が浸入しやすくなります。
雨水浸入リスクを低下させるためには、屋根内に雨水が滞留する部 分を無くし、乾燥しやすくなるような下記の通気層の納まり(通気下地屋根構法)が望まれます。
一貫体制の重要性 最初から最後まで
情報の多様化
従来の住宅は、本来、要求されている「耐震性」、「耐風性」、「耐積雪性」、「防耐火性」、「劣化対策」、「メンテナンス性」、「省エネルギー性」、「空気環境」、「防音性」、「高齢者対応」、「防犯性」などの諸性能を示したり、評価を受けたりすることが少なく、仕様も現在ほど複雑になっていませんでした。
また、気密性も極めて低かったため、雨漏りがあっても著しく広範囲に劣化することは少なく、現在ほど厳しい状況では無かったと思われます。
近年は住宅性能表示が確立していますが、要求される性能も高く、仕様も複雑化しており、適切に設計・施工することは難しくなりつつあります。
従来は、棟梁が狭い領域の施工方法について指示していましたが、職種が少なく関係者が住宅全体を理解していました。しかし、現在は住宅を構築する際の業種も細分化されており、各業種間の共通する情報を伝えるには、現場管理者の深い知識や経験が必要となります。
一方、Web サイトには、設計・施工に関する情報が数多くありますが、誤った情報も含まれています。その中から、適切な情報を得るためには、関係する基礎知識が必要となります。
参考文献【住まい手向け】長持ち住宅ガイドラインより。
世界遺産にもなった法隆寺。
世界最古の木造建築物として1300年の歴史があります。
地震大国の日本で今なお現存する最古の建築物です。
最古の木造建築物の世界ランキングは
その法隆寺を筆頭に
10位まで日本の建築物が独占しています。
それだけ日本の宮大工の技術は世界に誇れる技術なのです。
それは日本の家屋の歴史でもあります。
新築住宅を検討なさる際には一度日本建築に立ち返ってみてはいかがでしょうか
お客様からのコメント
「ここが良い」
ご近所さんへの対応がすばらしい。ご近所さんが、工事の方の挨拶がとても好感が持てたと言っていました。
「もっとこうしたら良くなるのに」
とくになし
K 様 お忙しい中、アンケートへのご回答、コメントをありがとうございます。
工事を行うお客様宅への配慮は言うまでも無いことですが、工事に無関係なご近所の方々への配慮は私共の大切な業務のひとつです。
工事が終わった後も続くご近所様とのお付き合いに支障が生じないよう最善を尽くす事しか出来ないのですが、好感を持っていただけたのは幸いでした。
同じ区画のご近所様からご紹介いただいた今回のK様で3件の外壁工事となりました。
みなさまから続くあたたかいご縁に心より感謝申し上げます。
ありがとうございます。
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